ほろ苦いアイスの思い出
今週のお題「好きなアイス」。アイスにはずっと昔にほろ苦い思い出がある
僕は小学1年から3年にかけてスイミングスクールに通っていた。近所の幼馴染と一緒に通っていて、ある日、その幼馴染の母親が見学に来ていることがあった。
練習が終わり、更衣室から出てくると幼馴染の母親はアイスをご馳走してくれると言う。スイミングスクールの入口にはアイスの自販機が置かれていて、幼馴染と僕に100円玉を渡してくれた。
アイスが好きな僕は飛び跳ねるぐらい嬉しかったんだけど、問題はアイスの自販機がちょっとわかりにい自販機だった。正確には、普通の子には十分わかりやすくて、頭の悪い子どもにはわかりにくい自販機。
一般的にジュースの自販機などは見本の下にボタンがある。そのときのアイスの自販機は見本のそばに番号が振ってあって、欲しい番号が付いたボタンを選んで押すタイプだった。
僕より先に幼馴染が、表面をチョコでコーティングされたアイスクリームを買う。僕が食べたかったのも同じアイスクリーム。
しかし、買い方がよくわからない。今も決して賢くはないが、小さい頃の僕は、それはそれは頭の悪い子どもだった。その上、めちゃくちゃ恥ずかしがり屋。買い方がわからなければ幼馴染に聞けばいいのに、それすらもできないダメな子だった。
買い方がわからない僕が取った方法は、食べたいアイスの見本に一番近いボタンを押すこと。明らかに違うだろとは思いつもも、一般的な自販機の買い方以外思いつかなかった。他のやり方など想像もできなかったんだと思う。
はたして、出てきたものは…。
自販機の取り出し口に手を入れて確認してみる。出てきたものはグレープフルーツのシャーベット。すると、幼馴染の母親から「〇〇ちゃん、これが欲しかったの?」と声を掛けられた。明らかに僕の様子がおかしかったのだろう。
でも、「違う」とは言えなかった。恥ずかしかったのもあるが、そう答えてしまったら、もう一度新しいのを買い直してくれそうな気がしたから。頭は悪かったけど、気を遣うことはできて良かったと思う。
せっかくなので買ってもらったグレープフルーツアイスを食べてみる。味はちょっと苦い。まぁ、グレープフルーツだから苦くて当然。でも、苦く感じたのはグレープフルーツのせいだけじゃなかったはず。
今、僕はシャーベットよりもアイスクリームの方が好きだ。もしかするとこのときの苦い思い出がトラウマになっているかもしれない。
・・・そんなわけないか。
そういえば、アイスには紹介したい心温まる話あるけど、長くなりそうなのでその話は次回にしよう。では、次回をお楽しみに。
おわり