はじまりここから

下手の横好きではじめたエッセイ風のブログです。平凡な日々の中で感じたことを少しだけエモく綴っています。ジャンルはニュースや音楽など。

インドカレーのお店がくれる見えないポイント

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10月1日、緊急事態宣言が解除された。色々と思うところはある。ひとつには外食や観光などの産業が少しづつ活気を取り戻していって欲しいと思う。もちろん「油断するな!」と言いたい人の気持ちはわかる。わかるよ、ちゃんとわかっています。でも、自分の考えの中にゼロコロナはなく、あるのはウィズコロナだけ。別に新しく首相になった人の言うことを真に受けているわけじゃないけど、それが妥当だと思う。まぁ、御託はいいとしてね。少しでも早いこと、みんなが以前のように気兼ねく食事や旅行を楽しめるようになって欲しいと願わずにはいられないんだ。

インドカレーのお店

先日、家族でインドカレーのお店にランチを食べに行った。よく行くチェーン店ではあったけど、いつも行く店舗とは違う。なので、普段がどのぐらい賑わっているお店なのかはわならない。でも、土曜のランチタイムに入っていたお客は我が家を含めてたったの2組。混み過ぎているよりはいいけど、あまりに閑散とし過ぎているのも落ち着かない。やっぱり適度に賑わってくれている方が客としても居心地が良い。

それに、僕には悪い癖がある。客入りの少ない店を見ると「大丈夫かなぁ?(お店は)ちゃんとやっていけているのだろうか?」といらんことを気にし始める。失礼な話だが、あまり繁盛していなさそうな近所のたこ焼き屋でも、店の前を通るたび、外から客の入りを窺いたくなる。店側からすれば超余計なお世話だろう。

その日はたまたま客が少なかっただけかもしれないし、コロナのせいで客が減っているわけではないかもしれない。ただ、混んでいないことが謎に感じるくらい僕はそのお店が気に入っている。

定番のランチメニューは36種のスパイスが入ったカレーと大きくてもっちもちのナン。カレーはチキン、ポーク、ほうれん草、エビ、羊と種類は豊富にあって、辛さも自分好みに選べる。

僕はシンプルにチキンカレーの中辛を頼む。通い始めた頃はカレーとナンのセットを注文していたんだけど、ナンがあまりに大きいので、家族みんながそれぞれにナンを頼むとさすがにナンが多い。

そこで僕はカレーライスを頼み、ナンの量を調整するようになった。妻がオプションでナンをチーズナンに変え、息子がそのままプレーンのナンを頼む。我が家のお決まりのパターンだ。頼んだものを分け合えるのが家族で食べる醍醐味である。

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ビックフライ!オオタニ・ナン

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蜂蜜の甘みとチーズの塩味が絶妙に旨いチーズナン

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ランチのセットにはカレーとナンに加えて、サラダとスープ、それにドリンクが付いてくる。家族分で3000円も掛からずにお腹いっぱい食べられる。

市販のルーを買って試しに自宅でもチキンバターカレーを作ってみたけど、店の味にはぜんぜん遠い。スパイシーなカレーと絶品のナンを安く食べれるのがこのお店の魅力だ。ただ、実はこの店にはメニュー以外にも別の魅力がある。

見えないポイント

先ほど紹介したパターンでのメニューは3つ。ライスとチーズナンとプレーンのナン。対して我が家は4人家族。1人分足りない。娘の分だ。

娘は4歳になる。1人前のメニューをちゃんと頼んだ方が良い年頃だろう。でも、娘の分まで注文してしまうと明らかに食べられる量を超えてしまう。

9歳の息子は既に成人女性分ぐらいの量を食べられるが、その息子ですら、お子様セットを食べ切るのは簡単ではない。もう一つお子様セットが増えたら、我が家には完全な無理ゲーである。そういうわけで少々忍びないが、3人分のメニューでお店には勘弁してもらう。

しかし、そんなマイナス1の注文しかしない我が家にもお店の人は優しい。店はインド人のオーナーが経営している。ウェイターもコックも、働いている人はみんな(たぶん)インド人。どの店舗に行っても日本人は見かけたことがない。会話するときの雰囲気や表情はやや硬いけど、彼らの心はサービス精神で溢れている。

料理がテーブルに運ばれてくると、セットのスープが一つ多い。人数分の4つが用意されている。ハーフサイズのコップには水ではなく、カルピスが入っていて、黙ったまま娘の前に置かれた。

こちらとしてはマイナス1の注文で気が引けているのに、彼らはそんなことを気にも留めず、サービスを加えてくれる。初めてのことではなかった。毎回ではないが、過去に他の店舗でも同じようにサービスを受けたことがある。今回はガラガラの店内だけに、さらに申し訳なく感じた。なんならその分のお金を払ってもいい。でも、それはできない。断った方が良いだろうか。それもまた、せっかくのおもてなしに水を差すことになる。だから、せめて次もこのお店に来ようと思う。単純だけど、こういうサービスに日本人は弱い。

お客にリピートとしてもらうための支払った金額に合わせてポイントを貰えるサービスは多い。もちろんこのサービスは有効だけど、僕にとっては彼らがくれる見えないポイントの方が遥かに嬉しい。

お客が感動するサービスはマニュアルを超えたところにある。日本のサービスの質は総じて高い。マニュアルだけでも十分すぎるほどのサービスだ。それでもお客は何度も店に足を運ぶうちにマニュアルのサービスには慣れてしまう。当たり前に求めてしまうので、少しずつ感動は薄れていく。だから、イレギュラーなサービスである方が新鮮で感動を覚えやすいのだ。

少しずつ元に戻していく

コロナ禍になってから行くのをやめてしまった店は多い。気兼ねなく仲間と食事を楽しめるにはまだ少し時間がかかるだろう。でも、ワクチンの接種率が高まってきた今、これからは少しづつ元に戻していきたい。もちろん様子は見ながらであるし、感染対策は守った上で。トライ&エラーの繰り返しになるだろうけど、それは仕方ないんじゃないだろうか。

いまだに協力金の支給遅れもあると聞く。手遅れるになる前に好きなお店に行けるようになりたい。特に、インドカレーのお店のような見えないポイントをくれるようなお店にはこれからもあり続けて欲しい。そのためには少しずつ元に戻していけるように努力する。そんなことを思った。

 

おわり