はてなブロガーには珍しい小説の記事「福井歳春の杞憂」を読んで
今回はブログ仲間のジロー( )さんが書いた短編小説について書評のようなものを書いてみたいと思います。ジローさんが僕を仲間と認めてくれているかはわかりませんが、厚かましくも認めてもらえている前提で記事を書かせていただきます。
福井歳春の杞憂
小説のタイトルは『福井歳春の杞憂』です。話は全6話で、後書きも含めると記事は7本。1話目のリンクを下に貼ります。
まず、小説の紹介をはじめる前に二つ謝らせてください。
一つ目は、この記事の"はてなブロガーには珍しい小説の記事"というタイトルですが、これはあくまで僕の経験則によるものです。実際のところ、はてなブログに小説が珍しいかどうかは調べていないのでわかりません。何となくです。少なくとも僕がたまに使うnoteに比べれば珍しい印象を持っています。万が一、はてなブログで小説が珍しくなかった場合の予防線を張るために先回りで謝っておきます。
二つ目は、小説を紹介するにあたってジローさん本人の了承を得ていないことです。マナーとして先に一言断りを入れておくべきかと思いましたが、やっぱりやめました。だって、IDコールにはサプライズがあった方が楽しくないですか。僕は自分がされたときに、その方がドキドキして嬉しいです。
それに「紹介します!」って期待を持たせてしまうと、大した記事が書けなかったときに困ります。だって、投稿しにくくなるじゃないですか。これもある意味で予防線を張っているのです。
というわけで、ジローさん、ゴメンなさい。勝手に紹介させていただきます。
あらすじ
主人公の福井歳春はベテランのタクシードライバー。物語は福井が、彼の同僚が起こした交通事故の再調査を警察に掛け合うところから始まります。同僚の名は西園寺公也。無事故無違反を長年続け、個人タクシーへと独立を考えていた矢先、勤務中に事故を起こしてしまいます。しかも相手は一命を取り留めたものの、生死の境を彷徨うこととなる大きな事故でした。結果、西園寺はその事故がきっかけで会社を去ることになります。
事故の原因が西園寺にあったとはどうしても思えない福井は警察に何度も掛け合います。しかし、その甲斐もなく、事故が再調査されることはありませんでした。そして、10年の月日が流れます。
ある日、妻から入った事故を知らせる一本の電話。無念に終わった西園寺の事故を思い出し、動揺する福井。しかし、その電話から物語は思わぬ方向へと突き進んでいきます。
感想
何と言っても、物語を通して見えてくる福井歳春の人柄に惹かれました。ご本人の後書きにもありましたが、自分がまだ経験していない、上の世代の人の考え方や感情をうまく表現するのは難しかったかと思います。
偶然にも同じタイミングで読んだよう( )さんの記事にも書いてありましたが、"小説の最大の魅力は自由度だ"という通り、小説は読者の想像を前提に書かれています。
読者によって、福井歳春という人物の見え方も違うのだと思いますが、僕は不器用ながらも人情に厚い昭和の男を想像しました。
交通事故はどんな人にとっても身近な問題です。僕のような地方に暮らしている人間にとって、車は必需品であり、交通事故とは常に隣り合わせにいます。
そして、事故は自分だけでなく、大事な家族が巻き込まれる可能性もあります。自動車が世の中に普及して長い年月が経ちますが、高齢者によるブレーキの踏み間違え事故や乱暴な煽り運転など、自動車の事故に関わるニュースは近年になって連日報道されるようになりました。
一方で、車の自動運転技術は進み、運転が不要になる時代は目前まで迫ってきています。そんなことも考えながら読んでみると、より趣深いお話かと思います。
✳︎
なお、短い紹介で申し訳ないですが、短編小説ゆえに長々書くとネタバレのリスクがあります。その点はご理解ください。
しかし、短編小説は隙間時間にサラサラ読めてしまうのが魅力です。「よし、読むぞっ!」って気合いを入れなくても短い時間で読めるからいいんですよね。
紹介の経緯
さて、最後に小説を紹介しようと思った経緯を書かせてください。
ハッキリ言っておくと、互助会みたいな助け合いの精神は毛頭ありません。単に小説を書けるジローさんが羨ましく、むしろ嫉妬する気持ちがあったからです。
今までに何度も書いてきた通り、僕は文章を書くことが得意ではありません。謙遜とかではなく、本当に苦手なのです。一本の記事を書き終えるまでに何度も書き直します。
ブログを始めた1年ほど前まではプライベートで文章を書きたいなんて1ミリも思いませんでした。今までに読んできた本だって数えるほどしかありません。
そんな自分がブログをきっかけに日々、文を書くようになり、他の人が書いたブログを当たり前に読むようになりました。
新しく身につけた習慣の中で驚いたのは、素人なのに上手な文章を書く人がたくさんいたことです。昔からブログに触れてきた人からすれば当たり前のことかもしれませんが、僕にとってはとても新鮮であり、驚きでした。
特に上手なエッセイや小説が書ける人には憧れがありますし、同じくらい嫉妬心を抱きます。でも、嫉妬したところで、憧れの文章が書けるようにはなりません。
少なくとも今の僕に小説は絶対書けないです。テクニック的にもメンタル的にもまったく無理です。才能も努力も足りません。しかし、書評なら今の自分でも書ける気がしました。
この記事はジローさんのために書いているものではなく、自分の嫉妬心を紛らわすために書いたものなのです。レビューを書くことで、少しでも自分が書けるようになった気分に浸りたいのです。
一年ほどブログを続けてきましたが、今でも度々やめようと思うときがあります。明日突然やめても不思議はありません。それでも結局続けているのは書くことの楽しさを知ってしまったからです。
ブログをやめていく人はたくさんいます。続ける人よりやめる人の方がずっと多いです。やめる理由も人それぞれ違います。
ただ言えることは長く続けている人ほど、書くことが純粋に好きである気がします。お金を稼ぎたいとか、有名になりたいとか、書くこと以外に目的を求めると、それがダメだとわかった瞬間に書くことをやめたくなります。
ブログを長く続けるコツは色々言われますが、究極的には書くことを好きになることじゃないでしょうか。最近はそう思います。
すいません。だいぶ話が逸れてしまいましたね。ジローさん、やっぱり大した記事は書けませんでした。なので、断りもなく紹介したことをお許しください。でも、作品は本当に素敵でした。ナイストライです!
貴重なはてなブロガーの書いた貴重な小説です。この記事を通して少しでも多くの人が読んでくれることを期待します。
それでは、『福井歳春の杞憂』をお楽しみください。
おわり