『DIE WITH ZERO』を読んで僕は貯金の呪縛から解放されるのか?
突然ですが、今回は本について記事を書きます。と言いますのも、以前から読みたかった一冊を先日ようやく読むことができたのですが、読んだのは僕に限らずみんなが興味のあるお金の使い方について書かれた本だったんです。せっかくなので、ちょっとだけ紹介させてください。
特にはてなブロガーさんたちの中にはアフィリエイトを活用して副収入を得ている方が多くいらっしゃいますが、何かの目的を持って稼いでいる方もいれば、漫然と稼いでいる方もいらっしゃいます。だからこそ、稼いだお金の有効な使い方について興味がある方は多いはずだと考えました。
ちなみに僕が読者登録しているブログの中には最近素晴らしい書評の記事を書いた方や年間200冊もの本を読む達人がの方がいらっしゃいまして、今回の記事を書くにあたり、その方たちからインスパイアされたことも正直に白状しておきます。
DIE WITH ZERO -ゼロで死ね-
もったいつけましたが、僕が読んだ本のタイトルは『DIE WITH ZERO (ゼロで死ね)人生が豊かになりすぎる究極のルール』です。タイトルに"死ね"というキツめの言葉を含んでおりますが、要するに「金は死ぬまでにすべて使い切れ」ということを言っています。
昨年、はてなブログにも馴染みのあるけんすうさん(アル開発室)のツイートを見てからずっと気になっていました。一時話題にもなった本のようですので、この記事を読んでいる方の中にも知っている方はいらっしゃるかもしれません。
DIE WITH ZERO、おもしろかったです。好きです。
— けんすう@作業配信を流行らせたい (@kensuu) October 13, 2020
簡単にいうと「老後にを金を貯めてても、だいたい使い切れないし、その時にやりたかったことやっても幸福度は小さい。思い出は複利効果が高いから、今やりたいことをやっちゃいなよ!」という本です。https://t.co/L10M9gTvhh
早速、その本について検索してみると「何のために貯金するのか」そして「どのように生きるのか」、不確かな時代に誰もが気にしている2つの極めて重要な問題の核心に触れている、という宣伝文句が書かれており、僕の興味をより強く惹きつけました。
読んだきっかけ
僕が興味を惹きつけられたのには理由があります。2019年頃に話題になった「老後資金2000万円問題」について覚えていますでしょうか?金融庁が2019年6月に公表した報告資料の中で、老後の生活費には2千万円必要だと明記してあったことに端を発した問題です。当時、金融担当大臣の麻生さんが「正式な報告書としては受け取らない」とコメントしたことで、野党側から「公的年金は破綻している」とか「政府は無責任」などの追求を受けることになり、激しく炎上しました。
僕もいよいよ40歳を過ぎ、寿命を約80歳ぐらいと考えればちょうど人生のターニングポイントに差し掛かったところです。まだぼんやりとですが、自分の老後のことを少しずつ意識し始める年齢になりました。
とは言え、結局のところ老後資金をいくら貯めれば安心できるのかがわかりません。上述の問題では2000万円でも足りないという意見を多く聞きましたが、そもそも僕が2000万円もの大金を老後までにきちんと用意しておける自信もありません。
一方、貯金にばかりお金を回していればやりたいことにお金を使えず、今を楽しむことができなくなります。そんな葛藤を抱えはじめた時期にこの本の存在を知ったので、興味が惹かれないはずはありませんでした。
先に断っておきたいこと
続きを読んで頂く前に2つだけ断っておきたいことがあります。
一つ目はこれから書くことはあくまで僕の主観に基づいた一個人の感想です。解釈が正しいかどうかはわかりませんので、あらかじめご了承ください。それでも、みなさんが買うか迷ったときに覗くレビューよりは丁寧に書くつもりですので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
また、本書に限らずですが、上位にくるレビューにはネガティブな意見が多い印象を受けます。それはネガティブな意見ほどリアルな本音に感じやすいからだと僕は思っています。
本書は評価の星の数を見れば高い評価を得ている本であることは伝えておきます。
二つ目は僕がみんなにこの本を買ってもらいたくて記事を書いているわけでないことです。冒頭にも書きましたが、はてなブログのブロガーさんの中には副業的にアフィリエイトで収入を得ている方がたくさんいらっしゃいます。
かく言う僕もアフィリエイトに興味を持ったのがきっかけでブログを始めました。ただし、ブログを立ち上げる時に念のためプライバシーポリシーは書いておいたものの、今のところアフィリエイトは全く使用しておりません。
ですので、この本を買ってもらえたところで僕にとって1ミリのメリットもないわけです。そういう意味で中立的に書いていることを知っておいていただきたいです。
おすすめしたいタイプの人
次は読み進めて頂くにあたり、"この本をおすすめしたいタイプの人"について先に書いておきます。自分が本書を読むのに向いているかを判断いただくために簡単な質問を用意してみました。答える条件として、働き始めたばかりの20代の頃を思い出して考えてみてください。
質問:あなたには今どうしても行っておきたい旅行があります。ただし、旅行に掛かる費用はかなり高額で、仕事も何日か休まなくてはなりません。あなたなら次のどちらを選びますか?
(A)仕事はどうにかして都合を付け、お金が足りなければ誰かに借りてでも旅行に行く。
(B)仕事は休みを取りにくいし、貯金も切り崩したくないから今は旅行を我慢する。
なんとなく答えはわかるかもしれませんが、本書をおすすめしたい人は(B)を選んだ方です。(A)のお金を借りるのが正しいということにはなりませんが、本書では若いときにこそ、お金を貯めることよりも経験に投資することが重要であることを強く主張しています。したがって、反対に迷わず(A)を選んだ方はあまりこの本を読む必要はないと感じます。
ちなみにこの質問は本書の中で紹介している話を参考にしたものなので、もし読む機会があれば思い出していただけると嬉しいです。
また、本書を読むのに年齢は少しでも若い方が望ましいです。歳を取っている人にはおすすめしないというわけではなく、若いうちに読んでおいた方がメリットが大きいという意味になります。
- これから働きはじめる新成人
- 働きはじめてまだ間もない20代
- 結婚や子どもなど新しい家族ができる人の多い30代
- 仕事も家庭も少し落ち着きはじめ、老後を意識し始める40代以降。
どの世代にとっても有効な本ですが、理想的なのは上から順になります。
他にも、本書は富裕層の人にしか向かないというレビューも見かけましたが、お金持ちではない大衆の層にも価値のある本であることを断言しておきます。
本書で書かれていること
それでは、いよいよ本の中身について触れていきます。
まえがき
最初は発行元のダイヤモンド社で紹介されていたまえがきをそのまま引用します。
まずは、有名なアリとキリギリスのイソップ寓話から始めよう。夏のあいだ、勤勉なアリは冬の食料を蓄えるためにせっせと働いた。一方の気楽なキリギリスは自由に遊んで過ごした。やがて冬が到来した。アリは生き残り、キリギリスには悲惨な現実が待っていた――。
この寓話の教訓は、人生には、働くべきときと遊ぶべきときがある、というものだ。もっともな話だ。だが、ここで疑問は生じないだろうか?
アリはいつ遊ぶことができるのだろう?
それが、この本のテーマだ。私たちは、キリギリスの末路を知っている。そう、飢え死にだ。
しかし、アリはどうなったのか? 短い人生を奴隷のように働いて過ごし、そのまま死んでいくのだろうか? いつ、楽しいときを過ごすのか?もちろん、誰もが生きるために働かなければならない。だが、ただ生きる以上のことをしたいとも望んでいる。「本当の人生」を生きたいのだ。この本のテーマはそれだ。ただ生きるだけではなく、十分に生きる。経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える。
もちろん、誰もがそのような人生を望んでいる。だが現実には、全員がその望みを叶えられるわけではない。私は長いあいだ、この問題について真剣に考え続けてきた。友人や同僚とも何度も議論を重ねた。
この本で読者にお届けするのは、その成果だ。あらゆる問題を解決する答えなど存在しない。だが、私はあなたの人生を確実に豊かにする方法だけは知っている。
『DIAMOND online』より
著者
著者はビル・パーキンス。1969年にアメリカテキサス州ヒューストンで生まれでコンサルティング会社BrisaMaxホールディングスのCEO。現在は、1億2000万ドル超の資産を抱えるヘッジファンドのマネージャーでありながら、ハリウッド映画プロデューサー、ポーカープレーヤーなど、さまざまな分野に活躍の場を広げている。ちなみに本書が初めての著書だそうです。
主旨
著者は本文中で"今しかできないことに金を使う。 それこそが、この本で伝えたいことの核"と述べています。
切り口は変わっても、例にあげる人を変えながらも、金を無駄にするのを恐れて機会を逃がすのはナンセンスであり、金を浪費することより、人生を無駄にしてしまうことのほうが、はるかに大きな問題であるということを繰り返し提起しています。
そのためには自分の死と真剣に向き合い、人生の残りの時間を意識しながら行動することの必要性も説いていました。
なお、一点注意しておきたいのは、筆者は将来に対して計画を怠って良いとは説明しておりません。将来の計画をきちんと持ちつつ、同時に今を楽しむことも忘れるなと述べています。
物足りなかった点
少し残念に感じた点も書いておきます。
著者がアメリカ在住のため、話に出てくる保険や平均資産などの話が日本とは条件が異なります。日本人には当てはめて考えにくい部分がありました。
また、読む前はビジネス書や実用書に近いものを期待していましたが、それらとは性格が異なり、ほとんど思考の話に終始します。実践的な要素が少ない点に物足りなさを感じたのも事実です。
総評
結論から言うと、本書を読んだことで記事のタイトルに書いた貯金の呪縛からの解放、つまり、とにかく貯金しなくてはならないという不安や迷いから解消されるまでには至りませんでした。
不安や迷いを解消するためのヒントを教えてくれましたが、完全に解消させてくれるものではなかったということです。
ただし、読みながら感じたことは、どんな本を以ってしても、将来には必ず予測しないことが起こり得るわけだし、現代よりも遥かに技術の進んだ未来の生活に必要なお金を正確に見積もることができない以上、貯金の不安や迷いを完全に解消することなど現実的に不可能だということです。貯金の呪縛からの解放は僕が勝手に求めていた幻想だと気付きました。
そんなことよりも、本書にはもっと大切なことが書かれています。
個人的には「老後に何より価値が高まるのは思い出である」と断言している部分が心に響きました。確かに歳を老いて体が思うように動けなくなっとき、きっと一番価値のあるものは物やお金ではなく、これまでの経験であり、思い出です。
また、お金の価値を最大にできるのは26歳から35歳までのようです。
時間や健康が大切だと教えてくれる本はこれまでも読んできましたが、お金を使う最適なタイミングについて書かれている本は読んだことがありませんでした。
頭ではなんとなく理解していたものの、本から改めて学べた意義は大きかったと感じます。
そして、お金より経験が大事だとする風潮は世間から注目されているインフルエンサーを見てても気付くことができます。
名前をあげると、眉をひそめる人もいるかと思いますが、堀江貴文さんや西野亮廣さんも常々似たようなことを発信されている印象があります。
成功した人イコール豪華な家に住んで、全身にブランドものを身に纏っている成金のイメージは既に古いものとなり、誰にも真似できないような経験をしている人が注目される時代に変わりつつあります。お金配りおじさんの前澤友作さんが宇宙に行こうとしているのも、そういうことなのかもしれません。
本書は現代に適した大事な価値観を教えてくれているという意味で僕は良書だと思いました。
僕と似たような迷いや悩みを抱えた人にはおすすめします。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
おわり