はじまりここから

下手の横好きではじめたエッセイ風のブログです。平凡な日々の中で感じたことを少しだけエモく綴っています。ジャンルはニュースや音楽など。

リアルで会うことのメリットが定量化できない

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今週のお題「サボる」。

我ながらダセェなぁと思うことを白状すると、ここ最近は仕事がちょくちょく暇になるときがある。仕事が暇になることをダセェと思っているわけじゃなく、仕事が暇になるとすぐに気持ちがソワソワして落ち着かなくなる小心者なところがダセェのである。

別に暇になったからと言って、給与が減るわけではないし、暇になるのは自分だけのせいではない。ただ、暇になると、まるで仕事をサボっているような後ろめたい気持ちになってしまうのだ。

忙しいときは『いいかげん暇になってくれよ』とか思うくせに、いざ暇になったら、自分以外は忙しく働いているように見えて、つい焦ってしまう。

今まで、誰かに武勇伝を語れるほど激務をこなしてきたわけではない。出世欲が強くて、人一倍働いてきたわけでもない。それでも残業しない日は無かったし、有給を取るときにはそれなりに気合いを入れる必要があった。

そうした労働環境がサラリーマンには当たり前であり、とかく仕事がデキる男というのは忙しく働くものだと思っていた。"24時間戦えますか?"猛烈に働くことが良しとされた昭和から続くサラリーマン像。学生の頃は時代錯誤だと馬鹿にしていたくせに、いつの間にかその残像を追いかけるようになっていた気がする。

いつしか働き方改革という名目で、今まで美徳されてきた長時間労働もいよいよ見直される流れができた。しかし、長年染み付いた働き方はそんな簡単に変えられはしない。DX(デジタルトランスフォーメーション)、なんじゃそりゃ。文句を言いつつ、旧態依然のままのんびり過ごしていると、突如として転機は訪れた。

コロナ禍で一気にその流れが加速し、否か応でも働き方は変わっていったのだ。ローカル企業もその例外ではなく、気付けば当たり前のようにリモートワークするようになっている。

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リモートワークが定着してくると一つの疑問に突き当たった。それは、移動時間は悪なのか?という疑問である。すなわち、リアルで会うことに価値を認められるか?いうことへの問いかけであり、コロナが収束した後もリモートワークを積極的に続けていくかの答えに繋がっていく。

ただし問題は、リアルで会うことのメリットを定量化するのが難しいという点だ。膝を突き合わせれば相手の表情がよく見えるし、会話に微妙なズレが出て、気まずい雰囲気に陥ることもない。仕事以外の会話も弾むし、リアルで会う方がコミュニケーションを取り易いのは確かだ。そうなんだけれど、果たしてそれが結果にどれほどの影響を与えるかを、わかりやすく証明する術がない。

反対にリモートのメリットを定量化するのは簡単である。移動を無くすことによって省かれる時間やお金を計算するのは簡単だからだ。この問題はリモートワークを経験している人なら誰にでも当てはまることであって、とりわけ営業職の人たちの多くが悩ましく感じている問題ではないだろうか。

リモートから受ける恩恵は大きい。通勤時間が無くなり、その分、平日に自由な時間が増えた。天気が悪い日は外に出なくて済むし、堅苦しいスーツを着る必要もない。もう「リモート最高!!」って言いたいところである。しかし、無いものねだりをするのが人間だ。世の中の大半のモノには一長一短があり、トレードオフの関係が成り立っている。

リアルで会わずに仕事ができるのはありがたいが、代わりに貴重な出張の機会が失われた。僕の顧客はほとんどが都内に集中しているので、"営業活動に出る=出張"になる。今でもゼロにはなっていないが、週一以上出掛けていた出張は月一以下までに減少した。冒頭に書いた通り、最近は暇ができるようになったというのも、思うように営業活動ができななったことに原因がある。移動に掛かっていた時間が大幅に削減されたのだ。

仕事でも出張は楽しい。しんどい時もあるが、基本は楽しい。なぜ楽しいか?理由は色々あるが、ぶっちゃけ言うと、一番の理由は適度に仕事がサボれるからである。移動中も仕事はするがずっとではない。たまにぼーっと外を眺めたり、プライベートのことを考えていたりする。堂々と個人のスマホを見るし、本を読むことだってある。

リモートワーク中は暇になるだけで気持ちがソワソワするのに、移動中は悪びれもなく、仕事をサボってしまう。「だから生産性が低い」と言われても仕方がないし、そういう意味での移動時間はやはり悪なのかもしれない。

けれども移動しないとリアルで会うことはできないし、気持ちにゆとりを与えてくれる移動時間が、ある程度までは必要悪な気もする。頭の中を整理したり、これから会う人のことを考えたり、そんなゆとりがリモートでは生まれにくい。

出張に行けないのはコロナの感染防止に寄るところも大きいが、収束後に以前のレベルに戻ることはないだろう。半分か、それ以下かもしれない。どのぐらいがベストなバランスなのだろうか。リアルで会うことのメリットが定量化できれば良いのになぁと思う。

 

おわり