龍灰名曲十選
好きになる瞬間は突然やってくる。何かを好きになるのに理由はいらないし、いつどこで何を好きになるかなんて誰にもわからない。人は外見なり、音なり、手触りなり、味なり、匂いなり、五感から何かを好きになる。
お気に入りの曲もラジオや店で偶然聴いたのがきっかけで好きになることが多い。僕にとって自分好みの音楽に出会ったときの喜びは何ものにも代え難く、とりわけ十代の頃は好きなバンドを見つけるたびに大きな興奮を覚えた。
大学生の頃、仲間内で麻雀が流行っていた時期がある。授業をサボって昼間に雀荘で打つこともあれば、バイト上がりに友人宅で夜中から明け方まで打つこともあった。いわゆる徹萬(テツマン)と呼ばれるやつだ。
その頃は夜型の生活を送っていたので、午前2時ぐらいでは眠くならない。3時を回る頃になると少し眠くなってきて、会話が徐々に減り始める。牌(パイ)の音しかしない部屋というのもあまり居心地が良くない。必ず音楽を流すようにしていた。
家主の趣味でB'zやGLAYの曲が多かった気がする。おかげで今も『いつかのメリークリスマス』や『春を愛する人』を聞くと、当時のことを思い出す。
ある日、一人の友人が「このバンドはかっこいいから聴いてみろよ」と得意げにカセットテープを掛けてみせた。
流れてくる音楽はポップスではないが、純粋なロックとも違う。ラップ調の曲があるかと思えば、パンク調の曲もあった。
ミクスチャー・ロックを聴いたのはそのときが初めて。聴いてもすぐにはピンとこなかったが、最後のボーナストラックまで聴いたところでようやく僕の琴線に触れた。
カセットテープに収められた音源の正体はDragon Ash(ドラゴンアッシュ)の「Buzz Songs」。次の日から速攻聴きまくって、いつの間にか長い年月が過ぎていた。
以下、はてなブログ10周年特別お題「好きなDragon Ashの名曲10選」。
①「天使のロック」
ファーストミニアルバム「The Day dragged on」からバンド初期の粗削りな感じが残るロックな曲。
②「Iceman」
"朝焼けが窓に映ったとき 晴れた空に光る銀のピアス"。ピアスデビューを果たしたばかりの田舎の者は歌詞にもシビれた!上述のボーナストラック。
③「陽はまたのぼりくりかえす」
アフロヘアーでギターを弾く10代の頃の降谷少年。深夜番組で初めて見る姿に男前過ぎてホレた。
④「Under Age's Song」
タバコとコーヒーをのみながら、朝にこの曲をよく聴いた。個人的に一番好きな曲。
⑤「Let yourself go,Let myself go」
金髪にサングラス、黒のハットと黒のダウン。白いフォードのマスタングに乗って唄う姿は鮮烈だった。
この頃には若者なら誰もが知るモンスターバンドになっていた。さらに2枚同時に発売した「I LOVE HIP HOP」と「Grateful Days」で人気は不動のものになる。(数年後、違った意味で話題になるとは思わなかったが)
⑥「Viva La Revolution」
人気絶頂の中、名盤となったアルバムのタイトル曲であり、アンセム。
⑦「百合の咲く場所で」
4枚目のアルバム「LILY OF DA VALLEY」の中でもインパクトが強かった曲。"時の流れは激しくて 涙こぼれてしまいそうで 外は月明かりが切なすぎて ここで歌っている"。急激にテンポの速くなるサビがカッコいい。
⑧「Fantasista」
熱狂した2002年開催日韓ワールドカップのテーマソング。音楽界のファンタジスタ登場。
⑨「ROCKBAND」
長いバンド人生を経てロックバンドのカッコ良さを歌い上げた曲。
⑩「Walk with Dream」
バンドの初期メンバーだったベーシストのIKÜZÖNEさんが急逝。IKÜZÖNEさんのラストレコーディングとなった曲。
他にも紹介したい曲はたくさんあるが、お題に合わせてやむなく10曲に絞り込んだ。
当時ギリギリ10代だった自分もKjも、今はもう40代。あっという間にスターダムにのし上がった後の道のりは決して順風満帆なものとは言えなかっただろう。それでも20年以上バンドを解散せず、曲をリリースし続けてくれることは昔からのファンにとって嬉しいことだ。
最近は若い頃のように新しい曲を聴いても敏感に反応しなくなった。それでも、ふとした瞬間に好きな音楽と出会えることをこれからも期待し続けていきたい。
おわり