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下手の横好きではじめたエッセイ風のブログです。平凡な日々の中で感じたことを少しだけエモく綴っています。ジャンルはニュースや音楽など。

ビッグボス最高かよ!!新庄剛志の『スリルライフ』を読んでみた

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まさか、まさか。久しぶりに買った本のチョイスに自分でも意外すぎて驚いている。僕は野球好きではないし、ミーハーでもない。ただ、どうしても彼についてもっと知りたくなったんだ。

新庄剛志『スリルライフ』(マガジンハウス)

スリルライフ

スリルライフ

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新庄剛志。50歳。何も知らない人が初めて彼を見たときに、野球の監督だと気付く人はどれだけいるだろう。彼は選手のように若々しく、監督という言葉からイメージされるような厳格で威圧的な存在とはほど遠い。

磨き上げられた肉体と極めて陽気な性格。雰囲気は監督よりもむしろ現役のスター選手に近い。だが、彼は紛れもなく日本のプロ野球チームの、しかも一軍監督なのである。

そして、彼が監督になることを誰が予想していただろうか。願望ではなく、彼が監督になることを予期していた人がいたら、ぜひお目にかかりたい。

彼が選手時代に残した輝かしい成績は監督になるための条件として十分なものかもしれない。しかし、彼は野球から長い間離れ、バリ島で無職をしていた男だ。

トライアウトの先に見ていたもの

現役引退から14年。みんなの記憶からも忘れ去られようとしていたとき、彼が現役復帰を目指してトライアウト*1に挑戦するというニュースが流れた。

結局、選手としてのトライアウトには成功しなかったが、人の興味を惹きつけるのが相変わらず上手い。しばらくしてまた彼のことを忘れ去ろうとしていたとき、今度は監督就任のニュースが流れた。

冷やかし程度に挑戦していると思っていたトライアウト。僕は実に浅はかだった。彼は本気だったし、もっと遠い先まで見越していたことにまったく気付けていなかった。

監督に就任次第、高級車からド派手に登場してみたり、記者会見で突拍子もない発言をしてみたり、キャンプ地ではサプライズの花火をあげたり、やはり話題には事欠かない。

マスコミが連日のように彼を取り上げ、最近は彼の顔を見ない日がない。そんな中、シューイチ(日本テレビ)のインタビューに出演していたときの様子がとても印象的だった。

新庄劇場と言うべきか、インタビュー中は新庄節が終始炸裂。中山秀征からの質問に楽しそうに答える姿はあまりにキラキラしていて、妙に心を惹きつけられた。

そのときからだ。彼に興味が強く湧いてきたのは。どうしたら人はあんな風に輝いていられるのか。彼の原動力や哲学。彼の頭の中を覗いてみたくなった。

マスコミを味方につける能力

一方、破天荒な行動を好意的に捉える人がいれば、冷ややかな視線を送る人もいる。

あんな奴に監督が務まるものか。そんな声が聞こえてきそうだ。しかし、批判の声は思いのほか少ないらしい。本人曰く、それはみんなが「新庄が何をしてくれるんだろう」とスリルを期待しているからだと説明している。たしかにそれは一理ありそうだが、彼の人徳のなせる業な気もする。それは何気に今の時代において、とても貴重な能力ではなかろうか。

有名人はちょっと失言するだけで炎上にさらされる。失言まではいかなくても、マスコミが発言の一部だけを切り取って、揚げ足を取りにいくことは多々ある。炎上させたい人たちは聞く耳を持たないので、いくら弁解しようともその声はなかなか届かない。

いつ手のひらを返すかわからないが、今のところマスコミは彼の味方についている。マスコミを味方につける能力は今の時代に極めて重要だと思う。日和りがちな政治家もぜひ彼に学んでほしい。

真っ赤にそびえ立つBIG BOSSステージ

一見すると奇をてらっただけのように見えるパフォーマンスもいざ自分がやるには、とても勇気がいる。

ちょっと想像してみて欲しい。例えば、球場全体を見渡しやすくするために作られたBIG BOSSステージがある。巨人の原監督が作った『原タワー』を真似た真っ赤なタワーのことだ。2メートルの原タワーに対抗して、高さを3.6メートルにしたらしい。

仮に自分が同じ監督だとして同じようなことができるだろうか。僕なら絶対にできない。大先輩に張り合おうなんてあまりにおそれ多い。周りからバッシングされることも目に見えている。

他にも彼の行動にはこれまで見たことのなかった型破りのようなものが多い。セオリーを破るには勇気がいる。目立ちたい気持ちだけで簡単にできることではない。

どうして彼はそれを簡単にやってのけてしまうのか。きっと何か理由があるはずだ。僕はこの本からそれを知りたかった。

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13のストーリーと79の質問

『スリルライフ』の本編は、トライアウトを一週間前に控え、ファイターズからかかってきた一本の電話で話が始まっていく。

13のストーリーと79の質問が4つの章で構成され、現在の監督話に加え、選手として活躍していたメジャーや阪神時代の話についても語られている。

意外に戦略家な一面を垣間見ることができたり、難読症*2であることなどプライベートな面も明かしていたり、これまで知らなかった新庄を知れるのは面白かった。

★BIGBOSSから読者へメッセージ★

この本には、いま僕が考えていることのすべてが詰まっている。

監督になるまでのこと、なってからのこと、

そして、僕自身はどういう人間なのか‥‥‥

すべて本音で話した。

今シーズのファイターズの試合を楽しむために、

新庄剛志を楽しむために、

そしてあなた自身の人生をたのしむために、

この本を読んで、決して損はないはずだ。

--新庄剛志

引用元:マガジンハウス・ホームページ

最後に

メジャーでも活躍した彼は間違いなくスター選手だった。でも、僕は、彼には星(スター)よりも太陽の方が似合うような気がしてならない。

遠くで光って見えるだけの星ではなく、まわりを明るく照らしてくれる太陽のような存在だからだ。彼自身、コロナ禍でみんなが明るさを心から求めているタイミングで監督になったことに運命を感じていると語っていた。

オープン戦。ファイターズは好調のようだ。新庄剛志についてもっと知りたい方はこの週末にぜひ『スリルライフ』をご堪能あれ。

 

 

*1:プロのスポーツチームが入団を希望する選手を一斉に集めて実施する入団テスト

*2:知的能力および一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書きに著しい困難を抱える障害